どうも。元ナンパ師のKYです。
日曜の5時半からやってる「笑点」って番組ありますよね。
現在は春風亭昇太さんが司会をされていて、メンバーもだいぶ変わってしまいましたが、歌丸さんが司会だった頃の笑点を見たことあるでしょうか。
この頃の笑点を知らない方はYouTubeの切り抜きとかで「歌丸 円楽 笑点」と調べて欲しいんですが
当時、円楽さんってめちゃめちゃ歌丸さんのことをイジってましたよね。
「おいおい、早く死んじまえよ!」
とか、
「歌丸がいなくなって、もう3年かぁ・・・」
と線香を上げるような仕草をして、歌丸さんをイジっていました。
結構過激な発言だけど、このイジり芸に歌丸さんも乗っかって、「山田くん、座布団全部持ってっちゃいなさい」という風に積極的に笑いに変えていました。
これこそまさに、僕が言っている「冗談を言い合える関係」の典型なんですよ。

円楽さんは歌丸さんと”冗談を言い合える関係”を作っていたからこそ、2人とも笑い合えたし、さらに周りも笑わせられる。
つまり、円楽さんの冗談(イジり)が成立していたんです。
これは、円楽さんの人柄やキャラ作りもあります。
長年笑点で、たまに毒を吐いたり、でも時々「おっ」となるような、良い回答もする。
その中で歌丸さんとの関係性が徐々にできていたから、
「こいつなら言いかねないよね、許してやるか」
と周りからも、歌丸さん本人からも思われていました。
歌丸さんは円楽さんの大先輩ですから、普通なら怒られます。
でも円楽さんならテレビで言っても許される。
観客も、視聴者も「円楽さんだったら歌丸さんをイジりかねないよな」というキャラを確立していたから、笑いにできていたんです。
さらに円楽さんがイジる頻度・タイミングを調整していたことも、大きなポイントです。
一回の放送で、たぶん1回〜2回ぐらいしかイジっていなかったですよね。
大喜利のコーナーは10〜15分ですから、その番組の中で3〜4回答えたら、たまにアクセント的に、みんなが忘れた頃にイジり芸を入れていました。
だからこそ、抜群に効果があったんです。
これを何回もしつこくやっていたら、さすがに歌丸さんも不愉快になっただろうし、周りの人たちもシラけていたでしょう。
これが「冗談を言い合える関係の構築」が完成している姿なんです。だから僕は、皆さんにこれを見習って欲しいんです。
僕はよく「人と仲良くなりたい・彼女を作りたいのならば、冗談を言い合える環境を作りなさい」と言っています。
でも、イジりというのは、行き過ぎると「イジメ」になってしまうんですよ。
よく「イジりとイジメは一緒だ」って言われますけど、この二つには明確な違いがあります。
まず、イジりというのは、相手との相互の信頼関係があって、お互い笑って許せるもの。
その上で成立している”芸”です。
対してイジメというのは信頼関係がなくて、当事者は面白いと思ってても、周り・言われる本人は不愉快。そういう状態なんですよね。
僕も昔、地元ではめちゃめちゃイジられキャラで、ものすごいナメられられていました。
先輩に「鼻の穴でかいな」とか「アゴ長いな」とか、そういう身体的なコンプレックスを言われて、さらに周りも程度が低い人たちだったから、それに便乗して僕のコンプレックスを散々イジってきたんです。
まず、人の顔・体型などの身体的なコンプレックスをイジるのは基本的にはダメです。
歌丸さんと円楽さんの場合は、2人の高度な信頼関係があったから、身体的な特徴のイジりも成立していました。(だから、歌丸さんの細い身体を「ヨボヨボ」という風にイジっても歌丸さん本人も周りも笑っていられたんです。)
でも基本的には、女性であれ男性であれ、人の容姿をイジるのは相手を不愉快にさせるリスクが高いから、やめた方がいいですね。
僕が言っている「イジるべきモノ」っていうのは、顔の表情とか、言葉を噛んじゃったときとか、そういう言動、行動に関することです。
「あれ、今噛んだよね。笑」
とか
「いや、すごい悪い顔してるやん。笑」
とか、

こちらの記事にもまとめてありますが、こういった
◾️イジってOKなのは「相手の言動・動作」に関するもの
- 噛んだ時の軽いツッコミ
- 悪共有でテンションが高い時のイジり
- コケた時や自虐ネタに対する乗っかり
という部分をイジることが、相手不快にさせないイジりのコツです。
そして一番大事なのは相手が「笑えるかどうか」。
僕が昔、アゴだとか鼻がデカいって言われてたときも、先輩や周りがもし「お前イケメンだよな。面長だけど笑」みたいな笑えるユーモアがセットされた言い方だったら、まだ許せたかもしれないです。
でも実際は何度もしつこく、身体的な特徴をバカにされるようなイジり方をされました。
だから不愉快だったし、ずっと「うぜぇ…」と思っていました。
そしてよくあるのが、イジられている人が反抗すると「イジられている側が悪い」みたいにされますが、これは明らかにイジる側が悪いです。
イジる側が、相手が許せる範囲をちゃんと観察できてないからこそ、相手を怒らせてしまうんですよ。
特にナンパの世界では、相手を怒らせることは「下手打ち(ヒューマンエラーによるミス)」だとされています。
ですから、イジられている人を怒らせた場合は、イジった側が「相手の温度感を見抜けなかった」という下手打ちをしているので、イジった側が「加害者」になるのです。
これ気をつけて欲しいのが、大人になってからはたとえ相手を不快にさせたとしても、誰も注意してくれないまま縁を切られる、という点です。
友達関係だったら喧嘩して仲直りして「今度から言わないようにしよう」と気をつけられますが、大人の関係だとそうはいかない。
例えば相手が取引先だったら、仕事を切られる可能性があります。
マッチングアプリや街コンで知り合った関係だったら、何も言わずにブロックされて終わり。
で、後日女子会でケチョンケチョンに言われていたりするんです。
そうなったら、もうフォローも何もできないんですよ。
僕がこれまで見てきた中でも、不愉快なイジりをする人は、周りからどんどん人がいなくなっていきました。
昔の職場の人たちもそうでした。
僕の前職は超絶的なブラック企業だったのですが、とにかく民度が低くてハラスメントも横行しているような環境でした。
「どこまで言ってよくて、どこまで言ったら怒らせるのか」という、人の気持ちがわからない人だらけでしたね。
そういう人たちは全部「面白い」と思ってやっちゃってるんです。
だからあとで相手から「パワハラをされた」「セクハラをされた」と言われても「そんなつもりなかったのに」と言い訳をします。
でもそれは相手からすれば、これは完全な言い訳にしかならないんですよね。
そのため、昔の職場は若手の離職率がとにかく高かったです。
歌丸さんと円楽さんのような信頼関係がないから、ただのイジメになってしまう。
でも、それがないのに、相手の不愉快なゾーンまでイジる。ずっと同じことを繰り返してイジる。
これをやると、本当に嫌われます。
だから僕も恋愛や友人作りで「冗談を言い合える関係を作りなさい」と言っている時も、まず相手と対等になるために「相手に先に自分をイジらせなさい」と伝えています。
つまり、自分の弱みをさらけ出して、相手にイジらせるんです。
で、イジってきたらこちらも返す。
これは、「こちらは冗談を言われたから、こっちも言っていいよね」という相手と自分との間に平等な関係性を作るためなんです。
モテない人はそういった関係性ができる前に、「その服変だね」とか「お前、身長高いよな」「顔長いよな」みたいな、そういったセンシティブなことを言うから、嫌われたり、ブロックされたり、フラれたりするんです。
イジりって、実はすごく高度なテクニックなんですよ。
もう一人例を出すと、毒蝮三太夫さんのイジり芸は秀逸です。
ご存知ない方のために説明すると、毒蝮三太夫さんは、よく街歩きとかでおじいちゃんおばあちゃんに
「おいババア、さっさとくたばっちまえ!・・・でもな、あんまり早く逝くんじゃねーぞ?」
と言うような芸風で有名です。
一見すると「え、そんなこと言って怒られないの?」と思いますよね。
でもなぜこれが許されているかというと、これもまた毒蝮さんのキャラ作りがあるからなんです。
毒蝮さんは過激なことを言った後に、
「でもな、あんまり早く逝くんじゃねえぞ?」
「でもな、長生きしなよ」
と、必ずフォローで落として笑いに変えている。
だから相手も笑っていられるし、周りも笑っていられる。
もしこれが「早くくたばっちまえ!」だけ言っていたら、毒を吐いただけで笑えないはずです。
また以前ですが、とある番組でお笑いコンビのEXITがインスタグラムのオフィスに訪問するという企画がありました。
その時も二人らしいチャラチャラした芸風で、場を賑やかせていましたが、番組の最後のメイキングで兼近さんが社員に
「さっきの(発言)大丈夫でしたか?言いすぎてませんでしたか?」
と確認する場面がありました。
このように芸能人・タレント・お笑い芸人のイジりって、終わった後に必ず「笑い」や「フォロー」があるんですよ。
イジり芸っていうのは信頼関係があるから成立している。演者本人も不愉快じゃないし、視聴者も安心して笑える。
逆に演者が傷ついていたら、周りは絶対笑えません。
売れている芸能人、大御所っていうのは、人のイジり方がほんとに上手いんです。
でも素人の視聴者、特に思春期の学生とか子どもは「イジれば面白い」というイメージが先行して、やりすぎてしまう。
そして、イジメに繋がってしまうんです。
イジりとイジメは明確に違います。
その違いは「相手が笑えるかどうか」。
だいたい、身長や表情、肌荒れ、特にニキビなんかをいじると、相手は不愉快になりやすいですから、相手の仕草や言葉のちょっとした部分をイジるようにしましょう。
そして、自分もイジられるようにする。
これが僕の提唱している「冗談を言い合える関係」のイメージです。
ですから、ぜひ歌丸さんと円楽さんの掛け合いを見てみてください。
そして、今後テレビなどでイジり芸を見たとき、
「これはなぜ笑いとして成立しているんだろう」
という視点で観察してみてください。